対応したのが私ではなく、別の保護係のケースだったのですが聞いて飽きれた覚えのある話。
ある日、30半ばくらいの男性(Aさんとします)が右足を引きずりながら窓口前のホールに来られました。
保護課の職員が駆け寄って話をしたところ、「生活が苦しくて相談したい」とのこと。
壁にもたれながら歩いたりと強いふらつきがあったため、職員が肩を貸して面談室に案内しました。
Aさんの話を聞くと
・原因不明の右足麻痺が出ており、ろくに働くこともできない。
・病院にも行ってみたが原因不明と言われた。
・ずっとこんな調子で良くなることはない。
・現在一人暮らしで両親も亡くなり、一人っこのため兄弟はいない。
・親の残してくれたお金もなくなってきてとても不安。
と、現在の状況について確認できました。
その時点では、2か月程度生活できる預金があることを確認できたため、再度病院へ受診し、障碍者手帳の取得や軽作業で働けるところなどを就労支援スタッフが探すことなども伝え、面談は終了となりました。
面談終了後に係内の職員は
「ちょっと鬱も入っているのかもしれないね。」
「右足ずっと引きずってとても歩きにくそうだった。あれではできる仕事は限られるね。」
「話し方は丁寧だった。」
と特にこれといっておかしな点は感じなかったようです。
しかし、たばこを吸いに行って戻ってきた所長の言葉で一変します
「Aさん、車できてるぞ。しかも車に乗り込む直前3mから普通に歩きだしたぞ。」
みんなそれを聞いて「えええええええ!?」な状態だったようです。
近くの保護者の家に訪問に行く職員がいたので、帰り道にAさんの家を少し見てみたようです。
するとそこには、元気に庭の草木に水をあげているAさんの姿があったとのこと。
そこから2週間後に再びAさんが事務所に来るのですが、その際も右足をひきずりながら、前と全く同じ状態で来られました。
「状態も変わらず生活が苦しい」とAさんがおっしゃられたので、元気に歩いているAさんの姿を見たことを伝えるとAさんは
「日によっては快活に動ける時もあります!。」
と回答がありました。
・・・が前回は「ずっとこんな感じです。」との発言があったため明らかな矛盾が。
結局、その後は嘘にウソを重ねてしまい、最終的には特に病気でもなんでもなく普通に歩けることを白状されました。
大変に反省されてましたので、悪質とはみなさず注意だけで済ませたようです。
また、仕事がなかったのは本当であったため、就労支援スタッフが間にはいり、結果的に就労につなげることができた点は良かったです。
担当した職員に
「右足の状態ってそんなリアルだったの?」
と聞くと
「本当に右足がマヒしているかのような動きでした。俳優目指してもいいかもしれませんね。」と回答がありました笑。
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