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単身世帯かと思っていたら… 実は… 

ケースワーカー

ケースワーカーになった初年度の話です。

 

 

ケースワーカーになると、自身の生活保護担当ケースが割り当てられます。

 

どう割り当てるからは市区町村でバラバラですが

地区でケースワーカーの担当を決めているのがほとんどかと思います。

稀ですがケース番号の末尾で担当を決めているところもあるとか。

 

さて、私が最初受け持ったケースの中にかなり古くから保護を受けている人がいました。

 

その人は単身のおばあちゃんでした。(以下Aさんとします)

特にトラブルもこれまではなく、前担当の先輩からも

「なーんの心配もいらない。ちょっと耳が遠いから会話はゆっくり聞き取りやすいボリュームで。

 基本的に自分のことは自分でまだまだできる元気なおばあちゃんだよ。」

とさらっと引き継ぎの時に言われたくらいでした。

 

最初に定期訪問した際の印象は先輩から聞いた通りの人柄。

身体機能も年の割には良好で、特に気になるところはありませんでした。

 

ただ、家については当時から気になってたんですよね。

 

 

やたら広い。

 

 

いや、大豪邸というわけでは決してなかったんです。

昔の古い家って大体広いじゃないですか。

あんな感じでした。

 

2階もあったんですが、基本的に定期訪問についてはそんなに家の中を

うろうろと見回ったりはしないので興味はあれど、見ることはなかったんですね。

 

その後も3か月に1度くらいの定期訪問を行い、近くを通った時なんかも

元気かなと軽く様子を見たりすることもありました。

 

そんなケースワーカー初年度末にAさんが亡くなってしまいました。

 

 

葬儀についてはケースファイルに綴られていたかなり遠縁の方に連絡を取ったところ

最後ぐらいは面倒を見させてもらえればとありがたい返事をいただきましたが

葬祭費については扶助をお願いしたいとのことであったため

葬祭扶助の手続きについて進めることにしました。

 

葬祭扶助については

「手持ち金が残っていればそれを葬祭費に充て、足りない分を扶助しましょう」

とルールが定められています(だいぶザックリですが)。

 

そのため、査察指導員と一緒にAさん宅に現金が残っていないか調べることになりました。

 

その結果、寝室のとある場所に、大体の予想通りのお金が残っており

それを葬祭費に充てて、足らずを支給するという流れになりました。

(実はこのお金がかなりあると処理が非常にめんどくさいです。

葬祭費で全額使い切れるくらいがちょうどいい…)

 

「(さて、残額も把握したし、帰って葬祭扶助の決裁を作ろうかな)」

なんて思っていたのですが、ここにきて一つ気になることがありました。

 

 

 

2Fってどうなってるんだ?

 

 

約1年間の担当で6回程度の訪問でしたが一度も上がったことがありません。

残金探しという大義名分もあるのでこの際だということで上がってみました。

 

なんとそこには・・・!

 

 

 

 

テレビと冷蔵庫とベッドがあった。

 

 

 

なんじゃこりゃ!?となりました。

もう完全にAさん以外にだれか住んでいた形跡があるんですよ。

 

もうわけわからなかったですね。

 

だって

〇かなり古くからあるケース

〇単身世帯で保護開始

〇歴代ケースワーカーがだれも上記のことについて気づいていない

なんですよ。おかしいでしょう。

 

あと個人的に一番怖かったのが

〇テレビの製造年が去年

〇冷蔵庫の食品がまだ新しい

もう確実につい最近までだれかいましたよねこれ。

 

 

葬儀の際に遠縁の方と2Fの件について少し聞きましたが

全く心当たりがないとのことで、だれがいたかはわからぬまま…。

 

まさか、この何者かがAさんを!?なんて考えたりもしましたが

死因がはっきりしていたため警察でも事件性なしと処理されました。

 

 

ちなみにですがこの謎の人物に収入があった場合は、同一世帯になるので

Aさんは不正受給をしていた可能性があります。

その一方で、謎の人物が無収入であった場合は、同一世帯になるので

2人世帯の生活保護費が支給されていた可能性があります。

 

 

さすがにモロに書いてしまうとまずいので虚実織り交ぜておりますが

大筋の話についてはだいたい合っています。

 

 

 

一緒に住んでた人。誰だったんでしょうか。

 

 

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