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生活保護よもやま話その②

よもやま話

前回の記事では被保護者の情報開示について記載しました。

 

記事を更新している中でふと若かりしケースワーカー時代にやってしまったことを思い出しました。

 

 

 

 

ケースワーカー1年目の頃の話です。

 

Iさんという高齢独居のお婆さんが私の担当でした。

 

穏やかな人で、最初に訪問に行った時はずっと申し訳なさそうに私に頭を下げておられました。

その際は担当が変わったことの報告と、これから担当しますよ という挨拶をしたくらいでした。

まだケースワーカーになって2,3人目くらいの訪問だったため

「あんな普通のお婆ちゃんでも生活保護なんだなあ。」

と思ったのを覚えています。

 

そして2回目の訪問の時でした。

家に行って玄関をノックしても反応がありません。

不在か、帰ろうかな と思った時にデイサービスの車からIさんが杖をついて降りてきました。

(今思うとデイサービスの曜日くらいは頭に入れておくべきでした。)

僕は駆け寄って

「Iさんすいません。生活保護の関係で訪問に来ました。」

と言いました。

 

するとIさんは

 

「○○さん。その言葉は外ではしないで。やめて。絶対に。」

 

と静かに私に言いました。

 

 

私はハッと気づき

 

「申し訳ありません。」

 

と言いましたが、Iさんはそのまま杖をついて家の中に入っていきました。

 

 

これでは終われないので、恐る恐るそのまま再度玄関を開けました。

そこにIさんはいましたが、前回の訪問時と同じように穏やかな感じに戻っていました。

 

そして、

「ごめんなさいね。生意気言ってしまって。でもお外ではそのお話しはやめてほしいの。なんだかねとても恥ずかしくなってしまうの。ごめんなさいね。」

と言われました。最後に何度もごめんなさいを付けながら。

 

 

もう亡くなってしまわれましたが、Iさんから「生活保護」という言葉の重さを学ぶことができたかなと思います。

Iさん ありがとうございました。天国でもお元気で。

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