居住地が明らかな者が警察署等で保護され、その後に拘留等が解除されると同時に生活保護を申請したい場合については居住している市町村に申請となります。
では、居住地が明らかでない場合。
その場合の申請はどうなるのでしょうか。
Q.居住地がない又は明らかでない者が警察署等で保護された。その後に拘留等が解除された時点において要保護状態であるため、生活保護の申請を行いたい。どこに申請をすればよいか。
A.現在地保護に基づき、警察署等の場所にかかわらず、申請を受けた市区町村が実施責任を負います。但し、拘留等が解除されたと同時に病院に入院し、警察署が発病地と特定できる場合については、警察署等の所在地を所管する市区町村が実施責任を負います。
生活保護手帳では上記のように定められています。定めた理由の一つとしては警察署や刑務所がある地域の市区町村が実施責任を負ってしまうと、そこに生活保護申請が集中してしまうからではないでしょうか。
次に少しややこしいパターンを紹介します。
Q.A市の刑務所を刑期満了し出所したZさん。行先のあてもないため、前妻(B市)宅に身を寄せていたところ体調不良により入院した。その後、医療費が支払えず生活保護を申請する場合、どこが実施責任を負うか。
三択です。
1.身を寄せていたとしても一時的なものだし、発病地は刑務所と思われるのでA市
2.入院が必要となったのは前妻宅にいた時なのでB市
3.実はA市、B市どちらでもよい
正解は
2
です。
理由は、要保護状態になったのは出所時ではなく、入院が必要となった時点(B市にある前妻宅で生活中)であるため。
最後にもう1問
Q.A市の刑務所に服役中の「病気により入院治療を必要とする者」が、仮釈放にあたってB市の更生保護施設を帰住地として指定されていた。しかし、そこへ立ち寄ることなく、病院に直接搬送された場合の実施責任はどこか。
三択です
1.更生保護施設は指定されたけど結局居住していない よってA市
2.搬送されなければ更生保護施設に居住することは確実であった よってB市
3.こんどこそA市、B市 どちらでもよい。
正解は
1
です。
理由としては、実際に居住もしていない更生保護施設を居住地と解することは適当でないためです。そのため、刑務所を現在地として実施責任が決定されます。
結構受け入れる側もよく分かっていないことが多くて、実は実施責任がないのに申請を受理してしまうなんてことも…。
なので特殊な申請の場合は「いやいや、このパターンは絶対うちは実施責任ないって!!」という風に、みんなで色んな資料を読み込んで本当に実施責任があるのか確認したりしてました。
最悪の場合は別の福祉事務所と喧嘩をしてしまうこともあったり。
是非、ケースワーカーのみなさんは近隣の福祉事務所とは常にいい関係を築いて、持ちつ持たれつでいきましょう。
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