ある日、窓口に「生活が困っている」との主訴で来られたお母さんがいた。
ちょうど面接担当が全員対応していたため、私と後輩ケースワーカーで相談室へ案内し
話を聞くことにした。第一印象としては身なりはごく普通でとても困窮しているような状態には
見えないというのが正直な感想だった。
とりあえず現時点で何に困ってるのかを聞いたところ
「生活費が足りず、生活が回らないので、生活保護とかってできますか。」
と返事があった。私は、いきなり生活保護という言葉が飛び出したことに驚いたと同時に、なにか少し困っている感じが薄いな、と思ったのを覚えている。
さらに、こちらから「旦那さんは失業されたのか」と聞くと、特に失業したわけでもなく働いていると回答。「不景気で仕事の時間が少なくなり、給与が減ったのですか。」と聞いても、特にそういうわけではないと続けて答えられた。
この時点で私は「(うーん、旦那が家庭にお金を入れない経済的DVなのかも…)」と予測をしていた。
・・・が、お母さんの「旦那は月30万程度を家庭に入れてくれています。」という言葉でそんなものは全部吹き飛んでしまった。
早い話が「浪費が激しすぎる家庭」であったのだ。
何をそんなに使われるのか聞くと、とかく色々とローンで購入し、日々の支払いに追われており
旦那も凝り性のため、家電などを買いにいくとついつい予定してものよりもいいものを買ってしま
い、気づけば月々のローン返済が20万に届きそうなぐらいに膨れ上がっていた。
私はこの時に初めて50万円もする冷蔵庫の存在を知ったと同時に、「(冷蔵庫を4年ローンで買わないで…)」と心の中でツッコミを入れた。
とりあえずの解決策として、支払いの優先順位を決め、余計な支出は控え、先に返済できそうなローンから先に支払いを行うこと。お母さんもパート就労を行い世帯所得を向上させる。最後に、大きな額の物を買うときはしっかりと話し合い、きちんと計画を立てて購入するように口をすっぱくして助言を行い、一応は解決。その後は特に相談もなかったため、なんとかうまくいったものと思われる。
しかし、手取り30万という額は当時の私の給与総支給額を上回っている金額。これで生活保護を受けられるなら、市役所等の職員の2,3割は生活保護になってしまいますよ…。
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