生活保護については申請主義であるため、どれだけ困窮していても申請がなければ前に進めることができません。
(本人が入院中で自発的に行動ができない場合等に例外はあります)
逆に言うと誰でも申請することができ、申請者が困窮しているかどうか調査をされた上で必要と認められた場合、生活保護を受給することができます。
原則として申請から14日以内と決められてはいる・・・が!
生活保護法により、原則として申請日から14日以内に受給の可否について申請者に回答をしなければいけないと定められています。
しかし、現実的に見て14日というのはなかなか厳しいです。
というのも、申請後は調査にかなり時間を取られます。
①戸籍調査、扶養義務調査
親族の方に、扶養することはできませんか?と確認のお電話やお手紙を差し出します。
申請者本人も親族がどこにいるかわからない場合が多々あるため、戸籍調査をし、住所を把握した後に
扶養義務調査書等を郵送することになります。
他市役所に調査をすることが多く、何度もやりとりをするため14日以内で全て把握できる方が少ないです。
②銀行、保険の調査
資産がないかどうか確認をするため、各種金融機関に調査書を送付します。
また、保険についても解約返戻金等がないかどうか確認するため、同様に調査書を送付します。
金融機関によって回答にかかる時間に差があります。
早いところは1週間かからずに返ってきますが、遅いところは1か月を余裕で越えてきます。
③家財道具調査
申請者の住居に訪問し、生活状況や資産価値が著しく高いものがないか等を確認します。
④その他の調査
申請者によっては暴力団ではないか警察に確認をします。
虚偽の申請の疑いがある場合は、より詳しく生活状況を確認するなど、特に時間がかかります。
そして、申請は当然1件だけではなく、大きな市町村だと何件も一日で申請があります。
調査に時間がかかることから、14日以内ではなかなか判断を下すことができません。
14日を過ぎたらどうなるの?と思われるでしょうが、そこはご安心。
生活保護法に「調査に日時を要する特別な理由がある場合は最長30日」と記載がされています。
そのため、基本的には30日以内で申請結果が出ると思っていただければ大丈夫です。
実際、私もケースワーカー時代に申請から受給決定までの平均日数を調べたことがありましたが
1年間の平均は27日前後と毎回30日直前までかかっていました。
私の福祉事務所のスタンスが「十分に調査をし、書類を整えた上で適正なケース診断を行う。」でしたので
ギリギリまで各種調査を続けた結果なのかなと思います。
逆に大きな福祉事務所ですと
「問題がなさそうなら受給決定を早期に行い、後で虚偽申請等が発覚したならば、その後に保護費の返納等をしてもらえばいい」
というスタンスのところもあるようです。
というか、そのようにしないと保護業務が回らないのが現状のようです。
原則としての話ですので、手持ち金がまったくなく、各種貸付制度も利用できない場合などは
即日保護決定がなされる場合もあります。
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