みなさんは
「年金担保貸付」
という制度をご存知でしょうか。
これは、年金を受け取る権利を担保(年金証書)に貸付を行うもので、厚生年金や国民年金を貸付します。
貸付が認められているのは「独立行政法人福祉機構」のみとなっています。
融資された後は
①福祉医療機構が年金の支給期間から年金を直接受け取り。
②一定額を差し引いた上で残りを本来の受給者に送金。
となるため、完済するまでは年金の一部を受給者が受け取ることができなくなります。
この制度の長所でもあり短所でもあるのですが
・手元の資産を減らしたりすることなく
・借金を作ることなく
融資を受け取ることができるわけです。
そして、その分将来受け取る年金が減ります。
早い話が
「年金の前借り制度」
なのです。
年金担保貸付制度と生活保護制度の関係
生活保護受給中は年金担保貸付制度を利用することはできません。
保護受給中は「お金を借りる」ということは禁止されておりますので当然です。
しかし、生活保護受給前に年金担保貸付を利用したために、肝心の年金が減ってしまい
その結果、減少した年金だけでは生活できず生活保護を受給するというケースがあります。
これでは
「自分で年金を減らしておいて、それでは生活ができないとなり、足らなくなった部分を生活保護から支給してもらう」
と保護受給については同情もできないようなケースに思われても仕方ありません。
事実、私の受け持ったケースでも
年金額:月額13万
年金担保貸付によって差し引かれるお金:月4万
手元に入ってくる年金額:9万
と貸付を受けなければ、生活保護の基準額を上回っており、生活保護を受給する必要のないケースがありました。
年金担保貸付を受けながら生活保護を受給した場合、最初の申請についてはやむを得ないとの観点から、生活保護については受給可能です。
しかし、一度年金担保貸付を受けつつ、生活保護となり、貸付期間が終わり保護の廃止となり、
さらにもう一度年金担保貸付を受けて、生活保護の申請をした場合は原則として保護を受給することはできません。
生活保護手帳にもそれはしっかりと明記がされております。
2回目はアウトということですね。
(現在は生活保護廃止から5年間は年金担保貸付を受けることができなくなっています。)
年金担保貸付については、しっかりと制度が確立されているため利用については自身の判断となりますが
貸付を利用するときは将来の収支計画、ライフプランについてしっかりと見据えて利用しましょう。
コメント