保護費の支給については基本的に現在では振込が主になっています。
ですが、昔は窓口支給が大半であったため、なかには
「昨日もらった保護費の封筒を落としてしまいました。」
と、紛失したということで再度窓口にて相談に来る保護者がいることもありました。
こういった場合の保護費の取り扱いについてはどうなっているのでしょうか。
場合によっては再支給が認められる
生活保護手帳 第10-4 扶助費の再支給 より抜粋
「次のいずれかに該当する場合は、失った日以後の当該月の日数に応じて算定された額の範囲内において、その世帯に必要な額を特別基準の設定があったものとして認定できるものであること。」
(1)災害のために前渡保護金品等を流出し、または紛失した場合
(2)盗難、強奪その他不可抗力により前渡保護金品等を失った場合
上記の場合に再支給について認められることがありますが、盗難、強奪による遺失の場合は金額の多寡を問わず、警察に被害届を出し捜査依頼を必ず行わせなければなりません。
また、その他不可抗力についても、社会通念上一般に要求される程度の注意をしたにも関わらず、遺失したことが挙証されない限り、不可抗力とは認められません。
→「支給日でお金が入ったため、少しの贅沢をと思い居酒屋でお酒を飲み、酩酊状態になってしまったため、お金を落としてしまった。」なんて場合は社会通念上一般に要求される程度の注意をしていないため、当然認められることはないです。
再支給の認定については、ケースワーカーも同行し、実地調査、失った理由、金額、当時の手持ち金等について調査をすることが多いです。
認められなかった場合、その後の生活費はどうなる。
遺失理由について認められるものではなかった場合、その後の生活費はなくなってしまいます。
その場合に取る手段としては
①扶養義務者に対する扶養依頼をする
→通常の扶養は期待できない者も含め援助を受けるように指導されます。
②金銭管理の生活指導
→一般に、保護費を紛失し再支給を申請するケースは、保護費の大部分を携帯し金銭管理に注意を書く例が多いため、必要以上の金品を携帯しないように指導されます。
③預貯金の活用
→預貯金を有しており、これを充てれば最低生活が可能と認められる場合は、自己の窮迫・緊急状態を回避するため、最優先として預貯金を使うように指導されます。
それでもどうしようもない場合については、各々の福祉事務所で特別な対応をせざるを得ないのが現状です。
あまり悪くいいたくはないんですが、私の福祉事務所に「紛失した」と窓口に言ってきた人のうち、その多くは虚偽の申請でした。
再支給についてはケースワーカーも慎重になるため、なくした状況、場所、金額について詳細に聞き取り、確認を行います。
嘘をついている場合は、確認を続けるなかで、やっぱり辻褄が合わないところが出てきてしまうんですよね。
そこを突かれると、ますますその場しのぎの嘘を重ねてしまい、結局嘘とバレてしまいます。
また、原則として被害届を提出しなければいけないため、提出後に「実はウソでした」なんてことになると、虚偽の被害届の提出にもあたるため、逮捕もありえる事案です。
ウソの紛失相談については絶対にしないようにしてください。
心象が悪くなるばかりか、ケースワーカーとの信頼関係も傷つき、保護の廃止まで間違いなくケースファイルに「虚偽の保護費紛失申請 要注意」と書かれます。絶対にやめましょう。
もちろん、実際に紛失してしまった場合は今後の生活に著しく影響してくるため、必ずケースワーカーに相談をしてください。最初は疑われるかもしれませんが、ありのままを話せば今後どうするかについて対応をしてくれるはずです。
コメント