知人から「このツイートって実際どうなの?」と連絡がありました。
対象のツイートについては下記のリンクのとおりです。
①入籍をせずに、子どもができたら認知だけして母子のみ生活保護を受ける。
②住宅扶助基準額内のアパートに住む
(場所によって基準額はバラバラですが2人世帯ですと49000円~64000円です)
③夫も同じアパートの隣に住んで行き来する。
上記の状態が完成すると、旦那の収入と母子の生活保護収入があるためまさにリンクに書かれてある通りになるでしょう。
ですがやはり生活保護もそこまで甘くはありません。
生計の同一性について
生活保護を決定する上で重要な要素の一つに「世帯認定」があります。
例えば
「親子3人で住んでいるが、息子は仕事が続かなく、今は就労をしていない。
収入がないため息子だけ生活保護を受けさせてほしい。」
という相談があるとしましょう。
この場合、親子3人で生活をしており、家計を共同にして消費生活を営んでいると認められます。
そのため、生活保護の判断については親子3人全員の収入をもって判断がなされます。
よって、親に収入があるとみなされ、その収入額が3人の生活保護基準額を上回っている場合は申請について却下されるでしょう。
上記ツイートの場合ですと
「隣同士住んで、行き来を行う」
という点で家計を共同にして消費生活を営んでいると判断されます。
一つの部屋で同じ食事をとり、同じ風呂に入り、寝るときだけは別の部屋で寝る。
こういった状態であれば容易に生計を同一にしていると判断できるため、生活保護については母子家庭では判定されず、夫の収入も含めて判定されます。
ツイートのような生活は本当にできるのか?
「じゃあ結局ツイートのような生活保護受給はできないの?」と言われると
「できます」
と返さざるをえません。やろうと思えばできてしまうんですね。
どうすればいいかは非常に単純です。
生計を同一にしていると判断されないようにする。
これに尽きます。
単純に月に数回程度の接触にすれば何ら不自然ではありませんからね。
ただ、それこそ普通に離婚した家庭と変わりないのですが…。
発覚した場合には不正受給となり、悪質な場合は刑罰も。
母子が生活保護を申請し、保護が決定した後に夫が隣に住めばツイート通りに受給できるでしょう。
(保護決定前に申請をすると「あれ?旦那の住んでいる所は母子の隣じゃないか。」と調査段階で怪しまれるでしょう。ケースワーカーが調査を終えた後に隣に住めば1年程度はわかりません。)
しかし、ケースワーカーもそこまでバカではないです。
普段からの訪問等で発覚するなど、必ずどこかの時点で見つかることになります。
悪質性がある場合は、遡って保護費の返還をさせられるだけでなく、刑罰の対象にもなりえます。
立派な不正受給になるため絶対にしないようにしてください。
ちなみに生活保護手帳別冊問答集に偽装離婚についての対応があります。
参考までに記載しておきます。
(問)入院中の夫が全財産を妻子に贈与し、妻と離婚した場合、作為的な離婚と承知されるときであっても、法律上有効な贈与及び離婚であることを理由にこれを認め、単身者として取り扱わなければならないか。
(答)離婚が保護の程度を高めるためのいわゆる偽装離婚であることが明らかに立証され、従前と生活実態が変わらない場合は、同一世帯として認定するべきである。
生活保護手帳別冊問答集2016 P29 問1-2より抜粋
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