2013年に兵庫県の加古川市で、ケースワーカーが刺される事件が起こっています。
刺した男の理由はしっかりと述べられてはいませんが生活保護が受けられなかったことと、精神的な疾患によるものがあるのかなと感じました。
記事の中で「障害年金があるため、生活保護の対象にならない」との記載がありましたが、障害年金も等級により年金額が変わるので、保護の合否障害年金の有無が理由ではなかったのかもしれません。
時に相談者の中には、自分の意に沿わないとなると、面談中に脅迫行為をしたり、机をたたく、胸倉をつかむなどをする者が稀にいたりします。
生活保護の面談は複数人での対応が基本
とりあえずケースワーカーになりたての頃に言われた印象的な言葉として
「絶対に面談の際には一人で面談を受けるな。特に初回の面談は絶対に一人で受けるな。」
という言葉がありました。
必ず複数人で対応し、何かあった時でも協力して対応できるようにする。
言った言わないにならないように必ずもう片方が記録する。
話が危なそうであればもう片方が外に状況をそれとなく伝えに行く。
…etc。
とトラブル防止、危険回避の観点からとにかく複数人で対応するのが面談の基本です。
万が一に備えて色んな仕掛け、道具を配備
仕掛けといってもそんな大掛かりなものはなかったですけれども
【仕掛け】
○面談室の出口は2か所以上設置。
→相談者が興奮して暴れて出口をふさいでも、もう片方の出口から逃げることができる。
○面談室に通報ボタンを設置。
→脅迫行為があった際などに、ボタンを押すだけで外のランプが回り、警報が鳴る。
○窓口にシャッターが降りるように改良。
→より過激な行為に対応できるよう、生活保護課だけボタン一つでシャッターが降りるようになりました笑
【道具】
○防刃チョッキ
→おそらく加古川市の事件がきっかけで私の事務所にも導入されました。スーツの中に着込むようになっていて、すこし分厚いですが普通にチョッキとして着ることができました。もちろん面談中に使ったことはありませんでしたが…。
○催涙スプレー、ネットランチャー
→私が現役時代の頃に配備してありました。催涙スプレーはいわずもがな、ネットランチャーは、「バズーカのようにネットが飛び出し相手を捕縛する!」と書いてありましたが実際に発射されたことはなかったので、結局どの程度の威力かはわからずじまいでした。
○さすまた
→相手を制圧するための道具として置いてありました。実は一度だけ使ったことがあります。事前に「さすまたで相手を突くように威嚇する。」と警察の方に訓練付きで教えてもらっていたのが功を奏して、相手をかなりひるませることができました。壁際に追い込んで捕獲するのはとてもじゃないけど無理でした。
物騒な記事でしたが、面談で暴れる方なんて本当に極々わずかです。
怒鳴られたり、恨み言を吐かれる方はおられます。ですが、相談者もその状況に差はあれど、生活に困っている方ばかりです。そう思うと、怒鳴られるお気持ちもわかります。
ですが、明らかな脅迫行為、暴力行為については公務執行妨害として対応せざるを得ません。
上記の道具等が必要になる事態にならないように、相談者と面談担当者(もしくはケースワーカー)で困窮脱却に向けた建設的な面談をしましょう。
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